1Felis silvestris catus ★2020/06/01(月) 21:19:24.88ID:vK0H4B3y9 夜の政治
https://www.asahi.com/articles/DA3S14496309.html
辞職した黒川弘務氏の後任の東京高検検事長に林真琴氏が就いた。記者会見で、国民の信頼が検察の活動の基盤にあると繰り返し、職務を通じてその回復に努めてゆくと述べた。
信頼を傷つけた原因は二つある。一つは言うまでもなく黒川氏の賭けマージャンだ。個人の非違行為とはいえ、起訴権限を握る検察官のおごりや万能感のようなものが、背景になかったか。そんな視点からも組織全体を点検する必要がある。
もう一つは、政権が強行した黒川氏の定年延長と、この脱法的行為の正当化を図ったとしか思えぬ検察庁法改正の動きだ。
法の支配をゆるがし、検察権の行使に政治の恣意(しい)が入りこむことに道を開きかねない禁じ手だ。ところが安倍首相らは、いずれも法務省の提案を了承しただけだと責任逃れに走り、政治と検察の関係をめぐって広がった不信の解消という課題に、真摯(しんし)に向きあおうとしない。
黒川氏の処分を訓告にとどめたことに関しても同様の疑念が浮上している。人事院の指針からも外れ、官邸の意向が働いた旨を複数の政府関係者が取材に答えている。政権の説明は迷走し、著しく説得力を欠く。
森雅子法相は、法務・検察行政刷新会議なるものを設けると唐突に表明したが、真に刷新すべきは政権のこの姿勢である。定年延長、法改正、処分の三つについて、信用できる記録を添えて詳しい経緯を明らかにすることが「刷新」の第一歩だ。
1月以来の混迷のなかで、検察も民主的統制に服すべきで、政府が人事を掌握するのは当然だという声もくすぶる。もちろん検察の独立の名の下、暴走や逸脱はあってはならず、そうさせないために現行制度は、内閣に幹部の任命権を、法相に検察に対する指揮監督権を与えている。裁判所や、無作為に選ばれた市民でつくる検察審査会によるチェックもある。
主体やアプローチの異なる手立てを組みあわせることで、微妙な均衡の維持を図ってきた。政権はそうした積み重ねを無視して、任命時だけでなく退任時にも、幹部人事に時の内閣の意向を反映させられるようにすることを画策した。考え違いを正し、黒川氏の定年延長の閣議決定と検察庁法改正案を撤回するよう、いま一度求める。
朝日新聞もまた、読者の信頼を損ねてしまった。黒川氏と賭けマージャンをしていた社員を停職1カ月の処分とし、取材先との距離の取り方などについて整理し、改めて報告すると社会に約束した。社説を担当する論説委員室としても、報道に携わる者が守るべき倫理や規範について自問していきたい。
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